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シンガポールに引越しました

おばあちゃんの葬式2

おばあちゃんが亡くなった日、私は韓国で遊んでいた。
母から「来週がヤマかも知れないから、帰ってらっしゃい」と電話があった。
シンガポールに戻るより日本に直接帰った方が早いので、翌朝飛ぶことに決めた。
でもその夜、おばあちゃんは急変して、私は結局、間に合わなかった。

その日は、敬老の日だった。
日本ではシルバーウィークの最終日で、飛行機はどれも満席だった。
宿から電話やネットを使ったけどチケットが取れなくて、翌朝、いきなり仙川空港に行った。
カウンターを端から順に攻めて、大韓航空ダメ、アシアナ航空ダメ、JALダメ、
最後にANAのカウンターに行った。でもやっぱり満席。そのうえ台風で遅延。
「葬式なんです」と食い下がると、何度もキャンセルを探してくれて、なんとかとれた。
何かで読んだけど、飛行機っていうのは、空席はあるものなんだって。
葬式枠というかトラブル枠というか、何かあった時のためにとっておくらしい。


それが行きの話。
お葬式が住んで、次は帰りの話。


シンガポールへ帰る日、羽田までバスに乗るために吉祥寺駅へ。その日も台風だった。
小田急バスの案内所に「台風のため18時で閉店させていただきます」と貼り紙がしてあった。
よく見たらロンロンも閉まってた。電話で聞いたら、今日は現金払いで乗れとのこと。
普通は必ず、切符を事前に買って乗る。初めて使ったけど、空港連絡バスって便利。
トランク持って、山手線やらモノレールを何度も乗り換えしなくて済むのが楽。


吉祥寺駅まで見送りに来た母親が、心配だから羽田までついて来るという。
空港好きだからとか言ってるけど、ばぁちゃんがいなくなって淋しいんだろうと思った。
一旦は断ったけど、どうしてもときかないので、二人分払って乗り込んだ。
でもそのあと、バスの運転手さんにまで心配された。
復路のバスは出ないかもしれない、タクシーはまず捕まらない、電車も遅れている、
返金するから、と説得されて、母はようやくあきらめることにした。
運転手さんはとても親切で
「お見送りですよね。出発まで乗ってお話ししていいですよ」と言ってくれた。
あぁ、目からなんか水が。


結局ひとりで高速バスに乗った。雨はそんなでもなかったけど風がすごくて、
首都高がゴウゴウ言ってた。心なしかバスがふらついてるし、怖いよママン、
やっぱり来てもらえばよかった、なんて思ってしまった。情けないなぁ。
羽田空港には無事ついた。ニュースで見た通り、椅子や床に寝てる人がたくさんいた。
他の全部の国際線がDelayなのに、シンガポール航空は定刻出発するといって譲らなかった。
欠航してくれれば、もう1日、母と一緒に東京にいられたのに。